東方戦隊アーミーファイブ!vs鋼の Fan Club 〜私情最大の作戦

 

 

 

 

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今回の作品についての注意書き。

 

 このお話は、『鋼のFan-Club』シリーズに過去WEB拍手『ショート・ショート』に掲載されていた『東方戦隊アーミーファイブ』を強引にくっ付けたお話です。『鋼Fan』がベースになっていますのでエドワードは女の子です。そして、東方戦隊風にTV番組感覚で仕上げてあります。本来の『鋼Fan』とのイメージと内容のズレは大目に見て下さい。

 

 では、勇気の有る方のみお進み下さい。

 

 最後になりましたが当作品のOPED作詞は、長月真湖様が担当して下さいました。

Many thanks Miss.Mako-Nagatuki

 

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 このお話は、謎の凶悪組織『鋼のFan-Club』に狙われた、美しく気高い『エドワード=エルリック』を守る為、国の仕事を捨てて私情に走った軍部エリート達のお話である。

 

 

 

 

 

 

 

『東方戦隊アーミーファイブ!vs鋼の Fan Club 〜私情最大の作戦

 

 

 

 

 

 

スペシャルOPテーマ

『即席集合東方戦隊アーミー6!』(作詞:長月 真湖様)

 

♪私の女神に迫る影、カメラ片手に盗撮窃盗、人権無用の凶悪集団

  君の事が一秒でも心配さ今何処にいるんだい?

 君が呼ぶなら何処へでも駆け付けるから

 

 アーミーシックス!六つの正義が今燃え上がる、愛の鉄拳フレイムボンバー。

 いくぞアーミーシックス!君のためなら大総統もへのカッパ!

 愛しい君を守るためーさぁー!(福●愛選手風に叫ぶ)

 

 即席集合東方戦隊アーミーシックス!♪

 

 

 

 

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 久し振りに東方司令部に訪れたエドワードの表情は暗かった。

 明らかに寝不足なのは一目瞭然だ。無理をして皆に愛想笑いを振りまく姿が痛々しく、逆に大人達がエドワードに声を掛ける事を遠慮してしまうほど、落ち込み疲れた雰囲気を漂わせていた。

 

 見るに見かねたロイは、執務室で二人きりになった時さり気無くエドワードに何があったのか聞いてみる。しかし、頑なにエドワードはその心の内をロイに打ち明け様とはしなかった。

 こうなると、エドハードは『硬く口を閉ざした貝』の如く自分の気持ちを素直に出してはくれない。だが、ロイは、エドワードがどうすれば素直に話すかを知っている為、エドワードが座るソファーに近付きそっとその腕にエドワードを包み込んだ。

 

「何するんだよ。俺、資料読んでいるんだけど。」

「何かあったんだろ?」

 

 押し黙ったエドワードを抱き上げ、ロイは自分がソファーに座るとエドワードを自分の膝の上に乗せ後ろからスッポリと抱き締める。そして、まるで赤ん坊をあやす様にユラユラと揺れエドワードの耳元で囁く。

 

「私が頼りにならないのかい。」

「……そんなんじゃねーよ。」

 

――― ユラユラ、ユラユラ……

 

 ゆっくりとエドワードの緊張した身体と心を解きほぐす。

 頑なだったエドワードも、何時しかロイの腕にその身を預けゆっくり言葉を選びここ数日の出来事を話し始めた。

 

「……報告書にも書いたと思うけど、昨日までセントラルに滞在していたんだ。」

「確か申請をしに行ったと。」

 

エドワードは更に言葉を続けた。

 

「アルは、幼馴染の機械鎧整備士をリゼンブールに連れて行ってもらっているんだ。「年始ぐらい家族の元に居ろっ!」って言って、それで、アルも久し振りにリゼンブールへ行かせたんだ。」

 

 エドワードが東方に来た時、いつも一緒に居るアルフォンスの姿が無かった事をロイは不思議に思っていた。

 エドワードの話した『幼馴染の整備士』とは、ロックベル家の少女であろう。そして、アルフォンスは、年末年始をそこで過ごすであろうとロイは読み取った。

 

「アルが出発した次の日当たりから……俺の周りが騒がしくなったんだ。最初は、トイレで……」

「トイレ?」

「一応、俺は男子トイレに入るんだけど……もちろん『個室』の方にだぞっ!……で、俺が入ったら、間髪入れず知らない軍人が俺と同じ個室の中に入って来て…。」

 

 一瞬、ロイの腕がピクっと動く。しかし、エドワードがこれ以上不安定にならない為にもグッと堪え、一定のリズムを崩さずエドワードを心地よく揺らし続ける。

 

「何がしたかったのかは今だによく解かんねーけど、兎に角、かなり焦って思わず声をあげて助けを呼んだんだ。」

「それで?」

「うん。……少佐が助けてくれた。」

「少佐?」

「アームストロング少佐。」

 

 アームストロングは、エドワードが『女性』だと言う事を知る数少ない軍人の一人だ。信用のおける人間何人かに、ロイはエドワードの秘密を伝えている。勿論、エドワードの了解を得てだが。

 

 現在、軍内部でエドワードの秘密を知る者は、上層部の人間は解からないが、東方ではロイ自身と、腹心達ホークアイ・ハボック・ブレダ・ファルマン・フュリー。中央では、ヒューズとアームストロングにこの事は伝えておいた。何時か、エドワードの身に危害が与えられそうな時守って欲しいと願い、ロイはその行動を起こしている。

 

 普段は、遊びでエドワードの写真を『鋼のFan-Club』なる会報に送るアルフォンスだが、実際にはエドワードの危険を逸早く察知し、その身を守っている事はロイもその仲間達もよく知っている。現在、つかず離れずの弟がエドワードと別行動となると、自分の身に対し空きの多いエドワードを狙う者は数多く居るだろう。実際にその不安は的中している。

 

「で、その日は、少佐の下で働くロス少尉達が宿舎まで送ってくれたんだ。」

 

 エドワードは、その言葉の続きを語らずその身を小さく固めてしまった。

 

「それで、また何かあったんだな。」

「俺の借りていた部屋に……男がいた。」

 

 ロイは、頭に血が昇るほどの怒りを覚えたが、敢えてその感情を殺しエドワードの身体を少しだけ強く自分の胸へ抱き込んだ。エドワードは、自分を抱え込むロイの腕に左手を添わせ、自分の気持ちを奮い立たせるような声で話しをする。

 

「部屋を…飛び出したんだ。戦って身柄を確保すれば良かったんだけど、すっげー怖くなっちゃって……。軍であんな事有ったからかな?フロントに「不審な男が居るっ!」って言いに行った時、中佐が丁度来てくれていて……その日は中佐の家に泊まらせて貰った。」

「中佐?ヒューズか?」

 

 エドワードは、ロイの腕の中でこくりとその頭を揺らした。

 

「結局、中央滞在中は、中佐の家に居させてもらって……。でも、ナンだか寝付けなくて……。どこの軍の施設に居ても目線が気持ち悪くて……ここの司令室や執務室ではそんな事無いんだ!でも、やっぱり廊下とか歩いていると……。俺、何だか馬鹿みたいだよな。『過剰反応』のし過ぎだよな。」

 

 エドワードの乾いた笑い声が、ロイの耳に切なく響く。ろいは、エドワードを温かく、そして力強く抱き締めユラユラと揺らしながら優しく声を掛けた。

 

「よく、頑張ったな。大変だっただろう?ここは安心できるから少し休みなさい。宿は取ったのか?どっちにしろキャンセルをして私の家に泊まりなさい。出来るだけ私と行動を共にしよう。」

「……悪いよ。大佐も忙しいだろう?」

「構わんよ。」

「……アリガトウ」

 

 ユラユラと揺らされ続けたエドワードは、ロイの温かさと心地良いテノールの響きに何時しか安どの深い眠りへと落ちていった。

 安心しきって寝ているエドワードの疲れた寝顔を眺めながら、ロイは悔しさと怒りに心が振るえる。そのやり場の無い心情は、頭の中を冷めた感覚にさせていった。

 

 

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 それから、数日はエドワード周辺の環境は安定していた。それは、ロイ達がエドワードをさり気無く護っていたからに他無い。エドワードが、執務室や司令室から出る時は、必ず誰かが傍に付いていた。不審な男達が近付けば、露骨に敵意を向けエドワードから引き離した。ホークアイはガンホルダーに手を掛け威嚇の視線を送り、ハボックはカメラの前にさり気無く立ちはだかりその軍人に何時もは見せない厳しい視線を送る。ロイに至っては露骨に『発火布の手袋』を嵌めなおし、近付いてくる『Club会員』を脅した。そんな事も有り、エドワード本人もだいぶ気持ちが落着き、何時もの生意気さを取り戻し始めていた。

 

 しかし、その日は、ロイは地方司令部からの来客が有り、執務室内で応対を余儀なくされていた。そして、司令室内は書類が飛びかいさながら修羅場と化した激務状態で有った為、エドワードが悠長に資料の付け合せをする事など遠慮してしまう感があった。

 エドワードは、室内の忙しさを目の前にし、何と無く司令室に居座ってはいけないと考えた。付け合せの資料を持ち、エドワードは誰にも声を掛けず部屋を後にしたのだった。

 

 

 ロイの仕事が一段落し司令室に顔を出した時、エドワードの姿が無い事に気付いた。ホークアイに声を掛けエドワードの所在を訪ねたが、ホークアイ自身かなりの忙しさだった為、何時エドワードが室内を出た事すら気づいてはいない。勿論、他の司令室メンバーも、エドワードが居なかった事に今更ながら気づき驚きを隠せない感があった。

 

 

 エドワードは、軍の中庭に隣接する休憩室で資料を眺めていた。本来の集中力でその作業を続けている最中フッと自分の周辺に違和感を感じ視線を資料から逸らし顔を上げる。そこには、何時の間にか集まった大勢の男達がエドワードを取り囲んで居たのだった。

 

「なっ……何か用か?」

「鋼の錬金術師『エドワード=エルリック』君だよねー。」

「そうだけど……何だよ!」

 

 怯むエドワードに男達は一斉に声を掛け始めた。

 

「珈琲飲む?」

「おぉぉっ俺と写真撮って下さい!」

「髪の毛綺麗だよねー。」

「好きな人いる?」

「握手して下さい。」

「すっげー良い匂いしますねー、シャンプーは何か特別な―――」

「可愛いーーー!超可愛い!!

「肌白いですよね……触っても良いですか?」

 

――― ドヤドヤガヤガヤ……

 

 男達の異常な視線と発言に、本来強気なはずのエドワードは怯み慄いた。

 ここ数日自分に起きる不可解さが無くなった為やはり『あの事』は過剰な反応だったのだろうと警戒をしていなかった。、その為、不安定気味だったエドワードはパニックを起こし、椅子から勢いよく立ち上がると人の囲みを強引に抜け中庭へと駆け出して行った。

 

 

 ロイは、エドワードの身を案じながら自分が使用している机へと足を向けた。その時、中庭の方から大勢の男の声に混じって、エドワードの悲鳴に近い叫び声を耳にした。

 慌てて窓辺に立って見た光景は、エドワードが大勢の軍人に追い掛けられる異常な光景だった。

 

「エドワード!」

 

 只ならぬ上司の声に、司令室メンバーも窓辺へと足を向ける。そして、皆無言のまま顔を見合わせ頷いた。

 

 

「何なんだよーっ!俺が何したって言うんだー!! 誰か……誰か助けてーーーっ!」

 

 

「そこまでよ!」

 

 エドワードの前方に現れた司令室メンバーは、横一列に並び男達に声をあげる。

 

「エドワード君の『操』は、私達が護る!皆、変身よっ!」

「「「「OK!」」」」

 

Change Special Army!!

 

『説明しよう!彼らは、腕に着けている『ブレス』に命令をし手を太陽にかざす事で、遠く離れたリゼンブールから高速伝書鳩によって防護服が届けられる。フルメットのフェイスマスクに、特殊な素材のユニホームを一瞬の時間で着た【東方戦隊アーミーファイブ】がこの瞬間生まれるのだ!』

 

「光りの声に呼ばれし!」

 

 レッドユニホームのホークアイが言う。

 

「天から舞い降りた正義の使者!」

 

 ブルーユニホームのハボック。

 

「悪を斬り!」

 

 グリーンユニホームのファルマン。

 

「煩悩を叩く!」

 

 イエローユニホームのブレダ。

 

「我ら東方戦隊!」

 

 ピンクユニホームのフュリー。

 

「「「「「アーミーファイブ!」」」」」

 

 ♪チャランチャチャッチャ〜

 

 エドワードの身柄を確保したアーミーファイブは、鋼のFan-Clubと対峙し戦闘が始まった。

 しかし、鋼のFan-Club達の人数が多い為、僅かながら押され始めた。

 

「レッド!このままじゃっ!!

「ピンク!頑張ってっ!」

 

 その時、太陽を背に現われたロイは、軍服の袖口を軽く引き上げ手首を胸の辺りに当てた。

 

「時が来たようだな……。Change Special Army!」

 

 ロイが太陽に手をかざした瞬間、その姿はシルバーを基調としたスペシャルスーツに身を包んでいた。

 

「焔の戦士『Army master』!」

 

 ♪チャランチャチャッチャ〜

 

 アーミーマスターの参戦により、一気に鋼のFanClubの男達は劣勢に追い込まれた。しかし、男達はここ数日目の前にエドワードが居ながら声一つ掛けられなかった事で鬱憤が溜まって居た。

 彼らは一つの固まりの様に寄り添うと、その身体を一つの大きな軍人へと変化させて行った。

 

「レッドッ!」

「ええっ!」

 

 ホークアイは、近くにあった公衆電話へと走り、リゼンブールに有る『リゼンブール研究所のウィンリィ』に連絡をとった。

 

『――― 解かったわ!直ぐにアルフォンスロボを発進させるわっ! ……アルーッ!出番よー!! 巻き割りは良いからこっちに来てー。 レッド直ぐに行かせるから!』

 

 暫らくすると、遠くから地響きを伴う轟音が鳴り響いた。地上に向け降り立ち始めるアルフォンスロボを見たアーミーファイブ達は、一抹の不安を覚えた。

 

「なぁ…ブルー。何かアルロボがでっかくないか?」

「イエロー…俺もそう思っていた所なんだ。」

「このままじゃ僕達潰されません?」

「レッド!」

「……そうね。何だかやな予感がするわ。」

「アーミーファイブ!エドワードを連れ撤収しろっ!」

 

 アーミーマスターの声が掛かると、戦士達はクモの子を散らす勢いで分散し逃げ出した。

 地上に降り立ったアルフォンスロボは、前回よりも数倍に巨大化されており巨大FanClub会員を踏み潰し、更に東方司令部も踏み潰し破壊した。

 

――― 現在、復興のメドは立っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペシャルEDテーマ

『ラブリーガール☆ナイスガイ。』(作詞:長月 真湖様)

 

(ロイサイド)

蜂蜜色の髪と瞳の私の恋人。

意地っ張りで、口が悪くて小さくて(小さい言うな!)

でも優しく可愛いマイラブリーガール

 

(エドサイド)

黒い髪と瞳の俺の恋人。

意地悪でスかしてて女好きで雨の日無能で(無能じゃない!!)

でも結構格好いい俺のナイスガイ。

 

(リザ&ハボサイド)

今日はエドワード君(エド)が来てる日二人の世界な執務室。

あら?(殴る《られる》音)また何かあったのね、あったんすね。

止めに行くのも仕事です。これが東方司令部の日常。

意地っ張りなラブリーガールと無能なナイスガイ。♪

 

 

 

 

 

 

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End

(Up 17 December, 2004)