報告書シリーズ 第1章

 

 

 

 

 

 

 

エドワードの長〜〜い一日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッキリ言って俺は腹が減っていた。

クソ大佐に『雑用』を脅迫され、電話で結果連絡したが、「明日の10時に『報告書』を持って私の所に来る様に。」と宣った!!

 

テメ〜何様?用があるならそっちから来やがれ!!

 

怒り暴れる俺をアルが宥めすかし。

結局イースト行きの列車に乗って5時間もかけてわざわざ来てやったのに、『エロ大佐の仮眠室』…もとい『バカ大佐の休憩場所』に1時間半以上待たされた。

 

現在時計は、昼の1248分。今は窓から入る日を背に『後光 ロイ・マスタング』が俺の書いた『報告書』と独自で調べたのか『調査書』を見比べながら色々質問してくる。昨日の夜から『報告書』を書いていたからまともに食事をしていない。俺の腹の虫は『二重唱』を始めている。眼前がクラクラして大佐の机上にある黄色い花さへウマそうだ。

 

「聞いているのか?鋼の」

「大佐〜。まだ終わんないの〜ぅ?俺、腹減ってダメ。………なんか食って来るぅ。」

 

わざとらしい上目使いと幼い口調で『食料ゲット』を狙う。大佐は、机上に肘をつき両手を組むお得意のポーズをしながら盛大に溜め息をついた。ちなみに俺の腹の虫は盛大に『四重唱』を奏でていた。

 

「これから食事に付き合いたまえ。」

「………野郎と飯食って何が楽しいよ。彼女と行けよ。」

「私もそうしたいがね。あるレストランで不信な動きがあると通報があってな。視察だ、用意したまえ。」

 

……『したまえ』って『たまえちゃん』

……もとい、大佐。飯くらい幸せに食いたいよ!

だいたい『労働基準法』無視だよ。『青少年保護法』って知ってる?

睡眠不足だし。俺の背が伸びないのは大佐のせいでは?

俺の青春を返せーーー!だよ。

 

「………これって命令?」

「レストラン内では役職名で呼ばないように。私は君を『エドワード』と呼ぶ。」

 

……えっ、エドワード………サブッ。

 

「じゃあ俺は…『お父さん』か。」

「………。」

 

……あっ。大佐の顔『マジ切れ』5秒前?

 

「大佐。司令室に居るアルに連絡してくるわー。」

 

俺はマッハで執務室を飛び出した。大佐は室内で何か叫んでいたが………無視をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弟アルフォンスは、朝、東方司令部の廊下を歩いていたら前から来た『ハボック少尉』と『ブレダ少尉』に両脇をがっちり固められ司令室へと誘拐されていった。

仕事の手伝いでもさせるつもりか2人の顔は深刻だった。

だからではないが、何と無く部屋の扉を静かに開けながら中の様子を覗き見た。

 

 

 

……そこで見た光景は、アルと腕相撲する『上半身裸』の頭がピッカリ君。

周りで観戦している男達も何故か『上半身裸』。

手には賭でもしているのかチケットを握り締め拳を突き上げている。

ほとばしる汗、異様な熱気!

 

……ねえ。何で『上半身裸』?

 

アル以外は皆裸?

今日は『裸祭り』?

それとも『兄貴祭り』か?

 

イェーイ!

兄貴!

兄貴!!

超兄貴!!!

 

・・・・・・ってヤツですか?

 

腹が減っていたせいか、眼前の光景に付いて行けないせいか、頭がクラクラしてニ、三歩後ろによろけてしまって、後ろに居た人とぶつかった。

見上げると大佐。

「何か有ったのか?」って目で語るから、俺は大佐の服に顔を埋めながら指で「部屋を見ろ!」と語ってみた。

 

 

 

大佐は何も語らず扉を閉める。

その顔を見ると何か悪い物でも食った?って聞きたくなる渋い顔をして。

半泣き状態の俺は「………軍人って怖い。」と心底思った。

 

……許せ!!アル。兄ちゃんは君を置いていく。

 

 

そう心で詫びた後、大佐と一緒に廊下を歩き始めた。